インタビュー:マイアース

myearth01.jpg   myearth02.jpg
―本日は、「地球環境カードゲーム My Earth」を開発している、
岡崎さんと横山さんにお話をお伺いします。

では、岡崎さん、横山さん、よろしくお願いします。


岡崎・横山:よろしくお願いします。
※写真は、左:横山さん、右:岡崎さん。


―まず、知っている人も多いとは思いますが、ここでいうカードゲームとは何なのかを教えていただけないでしょうか?

岡崎:はい。私たちが開発しているカードゲームは
トランプやUNOといった「決められた数十枚で遊ぶ」という類のものとは全く異なり、

カードの種類が何百種類もあり、それらをユーザが自分で組み合わせて遊ぶ
「トレーディングカードゲーム」というジャンルを元にしています。

プロ野球選手やサッカー選手などの「トレーディングカード」が起源になっています。

基本的に対戦で遊ぶのですが、有名なものには、遊戯王やポケモンカードがあります。

例えばポケモンカードゲームは、相手のポケモンにダメージを与えて、
HPを超えるダメージを与えて(気絶させ)、一定数のポケモンを気絶させると勝ち、というルールです。


―なるほど。そのようなゲームを環境問題というテーマで作られたわけですね。

岡崎:はい、そうです。
ファンタジーやアニメの世界ではなく、地球環境という題材でも面白いトレーディングカードゲームが
創れるはず、という想いからスタートしました。

My Earthカードゲームでは、「地球環境を悪化させる『破壊現象』」と、「それを浄化させる『自然の生態系』」が戦います。

子供が楽しみながら、自然に、環境問題についての理解が深まっていく、ということで、
最初は教育機関を中心に展開して行こうとしています。

しかも、トレーディングカードゲームの利点として、カードの種類を随時追加制作していける点があります。
つまり、複雑な地球環境の様々な側面を、カードの追加パッケージという形で
表現することができるのです。

非常に可能性がある媒体だと感じています。



―いやぁ、とっても面白い発想ですね。

現在、お二人は慶應SFCの4年生ということですが、最初にこのトレカを作ろうとしたきっかけを教えていただけませんか?

岡崎:はい、このカードゲームにかける想いはお互いに違うんですが、まずは僕からお答えします。

中学校時代にですが、私はトレーディングカードゲームにハマっていました。
実は、トレーディングカードゲームは、アメリカではプロもいるほどの、深みを持つ世界なんです。

勉強より何より、一番カードゲームに頭を使ってました。負けたときには、
「次に勝つにはどうしたら良いだろう」という試行錯誤とフィードバックの連続、という感じです。

また、それとは別に、高校3年の終わりに、「環境問題ってうさんくさい」という考えに取り憑かれていました。
ただ、「地球が泣いてるよ」とか、「地球にやさしく」という言葉が、正直分かりませんでした。イメージ先行というか、具体的な意味が分かりにくいと思っていました。

そして大学2年生の時、國領二郎という教授の研究プロジェクト(ゼミ)を履修していたのですが、
その中でビジネスアイデアを考えるという取り組みをすることになりました。

研究合宿でブレストをしていた時に、この2つが融合して、地球環境カードゲームを思いつきました。

SFCの中でビジネスプラン・コンテストがあって、それに何かを出したいという目標もあったので、
とにかくやってみようと思って始めました。

横山:僕は、2年生の秋に研究会同士の合同の食事会で彼から話を聞いたのがきっかけです。
トレーディングカードゲーム自体は、全くやったことがありませんでした。

ですが、友達がこういったカードゲームを繰り返しやっているのをよく目にしていました。
調べて分かったんですが、実は小学生男子の95%は、カードゲームプレイ経験があるそうなんです。

そこで、カードゲームを”メディア”としてとらえられるのではないかと発想しました。

環境問題という複雑、面倒くさいものに対して、一般のメディアが危機感をあおっても、現代人の多忙な日常の中で、
そういったメッセージの効果はすぐに薄れていきます。そして、多くの人が「主体的」かつ「継続的」に行動することにはなかなかつながりません。

本質的に人間を動機付ける「楽しい」「分かりやすい」という要素で、環境問題にアプローチする新しい手段として、カードゲームにとても
可能性を感じました。
エンターテイメントを、問題に取り組むインセンティブにしたい。これが僕の動機です。



―それぞれ違う動機のお二人が協力し合っているというのは、とても面白いですね。

こういうプロジェクトがどう進んで行くのか、とても興味深いのですが、まず取り掛かったことはなんでしょうか?

岡崎:まず、表計算ソフトに名前と数値を書いてみて、ゲームとして面白くなるか考えるところからスタートしました。
この要素のパラメータがいくつで、生き物の強さがいくらで、みたいな感じです。

それを、学校のプリンターで印刷し、はさみで裁断し...全て手作業で始めました。

最初は、横山にデザインで協力してもらったんです。横山はイラストレーターのソフトが使えたので。



―なるほど、最初は周りにあるものからスタートしたわけですね。

岡崎:その後、学内のビジネスアイデアコンテストで優勝しました。3年生の夏のことです。
僕はほとんどノータッチで、横山が応募していたのですが、電話で「優勝したよ」と聞いた時はビックリしました(笑)


横山:気楽な感じで応募したら優勝してしまいました。


岡崎:それから、試行錯誤が始まりました。

今受け入れられているカードゲームは、剣と魔法の世界が主流です。
地球環境、それも環境問題を扱い、面白いと思ってもらえるかは不安でした。
でも、学童保育所や、児童館等の施設、環境イベントなどで子供たちにプレイしてもらい、
彼らが本当に楽しそうにやっている姿を見て、自信がつきました。

横山:熱中して遊んでくれますし、カードに書かれている内容について、いろいろとたずねてくれるんですよ。
例えば「酸性雨ってなに?」みたいな感じで。これは意味があるって、手ごたえを感じました。


―それはワクワクしてきますね。

岡崎:コンテンツが漠然と出来たものの、それだけでは絵に描いた餅です。
私たちはただの学生ですし、これからどうやって事業として進めていくのか、
つまり、どうやって世に出せば良いのかが分かりませんでした。

それで、何をすれば良いのか考えたのですが、「紙媒体=印刷会社」という単純な発想で、
印刷会社さんのスポンサーも探してみよう、ということになりました。

どうやって探すかも問題だったのですが、たまたまSFCの一授業として、
ある企業からの寄付講座があったんです。

それで、大学のラボを通じて、その企業にコンタクトをとりました。



―へぇ、大学も積極的に支援をしてくれたんですか。

横山:はい。慶應SFCには、SIVアントレプレナー・ラボラトリーという学生ベンチャー支援組織があって、
そこを介してその企業とつながりを持つことが出来ました。

SIVはSFCインキュベーション・ビレッジの略で、慶應義塾大学を基盤とした、
インキュベーション・プラットフォームの構築を目的とする組織です。


―なるほど。そういう周りの助けもあって、このプロジェクトがビジネスに近づいて来たわけですね。
それから、どのように進んでいったのでしょうか?


岡崎:はい。
2007年の3月に、この企業の担当者にプレゼンに行きました。

そこで幸運にも、応援したい、という風に応えていただきました。
社内ベンチャー制度の一つの候補という形で、サポートしていただける、という御返事です。

それから、1人社員さんが付いてくださって、ずっと支援してくれています。

それからビジネスプランをブラッシュアップしていき、
現在は本格的に事業見通しを立て、法人化を視野に入れて動いています。非常に楽しみです。


―ちなみに、このトレカの値段を教えてもらえませんか?

岡崎:まだマーケティング中ですが、一般に市販する際には、現在の
カードゲームと同様の価格体系で良いのではないか、と話し合っています。

まずは、教育機関に無償配布し、認知してもらうことから、だと思います。


―そういう配布先は、どのように見つけているのですか?

岡崎:学校、教育機関に持っていくことを考えているのですが、受け入れてくれる学校がどれぐらいあるか?
どれぐらい配布できるか?ということを、校長先生や教育委員会の方々とご相談しています。



―いきなりアポを入れるんですか?

岡崎:例えば、応援してくださっている教授の一人が、横浜市とのネットワークをもっていて、
そのつてで環境問題に積極的な学校を紹介してもらったこともあります。

SFCには、本当に活発な、横断的ネットワークが存在しているな、と実感しています。



―いやぁ、すごいですねぇ。可能性があって、本当に楽しみですね。
ここまでお聞きしていると、非常に順調に進んでいったような印象でしたが、苦労した点などはなかったのでしょうか?


岡崎:そうですね。半年ほど進め方を悩んで停滞した時期がありました。

「学生ベンチャーとしては、絶対にできない」「まずWebからやったらどうか」、
「エンターテイメント(おもちゃ)なのか、教材なのか、はっきりさせろ」などの
アドバイスをいただき、迷いがありました。

いろいろと悩んだり、行ったり来たりしましたが、子供に実際にやってもらって、
その様子を見ることで、吹っ切れました。本当に楽しそうに遊んでいる顔、興味津々の顔。

それがあったから、信じることができました。


―なるほどぉ。周囲の声より、現場の声ですね。


岡崎:本当に今思うことは、人のつながりに助けられたなぁ、ということです。

「こんなことがやりたい」と、いろんな人に掛け合っても、研究室間の壁がないんですよ。
本当にSFCはやりやすいと思います。


―そうなんですか。良い大学ですね。

横山:自由なところが良いと思います。
SFCは必修は体育と保険しかありません。

入学してから、自分で専攻を決めて、それに合わせて授業をピックアップするという感じなんです。

逆に言うと、何も考えないと、ただのカルチャーセンターになってしまうという危険もあります。


―最後に、今後のお二人の展開を教えてください。

岡崎:このビジネスで食ってこうと思っています。

横山:そうですね。


―このインタビューを、どのカテゴリに載せようか迷っていたんですが、
学生起業家というわけですね。どちらかというと社会起業家ですね。

岡崎:はい、そうだと思います。

―-本日はどうもありがとうございました。


岡崎・横山:ありがとうございました。

myearth



Comments are closed.